「白衣観音図」
鈴木其一
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- 作家名
- 鈴木其一
- 作品名
- 「白衣観音図」
- 寸 法
- 本紙:85.7×32.3㎝
総丈:169.6×44.0㎝ - 手 法
- 絹本・墨・胡粉・金泥・岩彩
- 制作年
- 安政2年(1855年)以降
- 備 考
- ・画面左下に「菁々其一拝寫」・印「其一」
- 解 説
- 鈴木其一 白衣観音図
穏やかな表情の観音が岩に座り、川の流れを見ている。観音の唇、頬、目元にはうっすらと紅色が施されており柔らかい印象を感じる。宝冠と瓔珞(胸飾り)は金泥で描かれている。
白衣の衣文線は、太い線と細い線の強弱がつけられているが、薄墨で描かれているので、白衣の柔らかさが存分に表現されている。
観音が座っている岩は、滲みや擦筆を使って描かれているが、決して硬い印象はない。
落款の「菁々其一」は、1844年(弘化元年)頃から使われた款記で、其一のスタイルを確立した時期の作品と言える。
鈴木其一(1796~1858)は江戸時代後期の画家。
通称は為三郎、号は噌々、菁々。
江戸中橋に生まれ、文化10年(1813)、数え年18歳で抱一に入門。
のちに酒井家の家臣鈴木蠣潭の養子となって抱一に仕え,門下の逸材として絵の助手をつとめた。
師、酒井抱一が築いた江戸琳派の優美な画風を基盤にしながら、斬新で独創的な作品を描いた画家として知られている。
抱一からは、茶道や俳諧も学び、「鴬巣」の俳号をもち、亀田鵬斎や大田南畝らと交わり、彼らの讃をもつ作品も数多くある。